湯浅年子賞選考委員長 お茶の水女子大学理学部長 菅本晶夫
1978年頃の湯浅博士
資料提供:
本学ジェンダー研究センター
第1回湯浅年子賞は、平成25年5月14日に募集を開始し同年7月31日に募集を締め切りました。
5件の推薦を受け付け、選考委員会において慎重に審議を行った結果、下記の2氏を湯浅年子賞「金賞」候補者として本学学長に推薦し了承を得ました。
なお、今回「銀賞」の該当者はありませんでした。
山崎美和恵 氏(埼玉大学名誉教授、お茶の水女子大学ジェンダー研究センター研究協力員)
業績「湯浅年子博士に関する研究と著作活動」
山崎氏は、定年後から88歳の現在に至るまで、師である国際的物理学者湯浅年子博士が残した研究論文、研究ノート、科学的随想、短歌や詩、日記、スケッチ等の膨大な資料を詳細に読み解いて、 現代社会に生きる人々に著作や論文によって、湯浅年子のメッセージを伝えた業績は極めて顕著です。 山崎氏の誠実な著作活動は、一人の女性自然科学者の生涯を明らかにするに留まらず、「科学とは何か」を改めて現代人に問いかけるものです。 従って山崎氏は、自然科学の社会的普及活動ならびに自然科学分野の女性研究者を増大させる活動において、極めて顕著な業績を上げたと評価することができ、 湯浅年子賞「金賞」受賞候補者として相応しいとの理由から選ばれました。
市川温子 氏(京都大学大学院理学研究科 准教授)
業績「ニュートリノ振動実験への寄与」
「T2K(Tokai to Kamioka)実験」は今年度、東海村を発したミューオンニュートリノが神岡で検出される際に電子ニュートリノに転換することを確認して、 世界に先駆けてニュートリノ振動が起きることを発見しましたが、市川氏は東海村において、高強度で高品質のニュートリノビームを発生させるシステムを考案して、この発見に極めて重要な寄与を行いました。 市川氏の考案したシステムは、ニュートリノの発生源であるパイ中間子を収束させて揃えるための3連の磁気システム(ホーン)であり、 これを用いることによって、従来と比較して格段に高品質で高強度のニュートリノを発生させることができました。 この市川氏の研究が上記のニュートリノ振動の発見につながったと考えることができます。 従って、市川氏の研究業績は極めて顕著であり、国際的にも広く認知されていると評価することができ、湯浅年子賞「金賞」として相応しとの理由から選ばれました。
(該当者なし)
以上
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