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2017年2月17日更新
保井コノ賞選考委員会委員長
お茶の水女子大学 理学部長 吉田裕亮
第1回保井コノ賞選考委員会は慎重に審議を行った結果、下記の2氏を保井コノ賞候補者として本学学長に推薦し、了承を得ました。
「保井コノ賞」設立趣旨についてはこちらをご覧ください
平成28年度「第1回 保井コノ賞」募集のご案内
佐々木 成江 氏(名古屋大学大学院理学研究科生命理学専攻准教授)
佐々木氏の主たる研究分野は基礎生物学であり、特にミトコンドリアゲノム核様体の高次構造に関する研究において顕著な研究業績をあげている。また真正粘菌ゲノムプロジェクトにおいては、同プロジェクトの推進に大きな貢献をすると共に、最近では、同成果をヒトやマラリア原虫のミトコンドリア核様体に応用する等、独創的かつ画期的な成果として国内外で高く評価されている。
また佐々木氏は、名古屋大学における女性研究者増加策に関して、抜本的改革に尽力し、同大学を女性の活躍を推進する大学に選ばれるまでに変革した。さらに、本学をはじめ様々な大学における女性リーダー育成ならびに女性研究者増加事業に関する研究会?シンポジウム等で多くの講演を行い、女性研究者支援に対する貢献を果たしてきた。
柴 小菊 氏(筑波大学生命環境系下田臨海実験センター助教)
柴氏の主たる研究テーマは真核生物の鞭毛?繊毛運動のメカニズムの解明である。博士後期課程在籍時には、馬場昭次教授(現本学名誉教授)と共に、高速度顕微鏡画像記録の基礎技術の開発ならびに鞭毛の運動波形解析のソフトウエア開発に携わった。柴氏の研究は、時空間分解能を高精度で有するデータに基づくものであり、特にユウレイボヤ精子を用いた研究では、運動中の精子鞭毛内部のカルシウムイオンの濃度変動の検出に成功し、新たな走化性メカニズムの提唱につながった。また、海産の巻貝を用いた精子の後進遊泳の解析は、精子鞭毛運動の新たな多様性を示す研究として注目されている。これら柴氏の研究成果は、新たに生殖医療や繊毛病等の医学分野への応用に向けた発展が期待されている。
以上