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新型コロナウィルス関連肺炎COVID-19に関する注意喚起について(保健管理センター)(2020年5月11日情報)

2020年5月11日更新

学生ならびに教職員各位  

2020年1月27日
保健管理センター所長 本田善一郎

1.bet36体育在线_10bet体育-【唯一授权网站】@感染症COVID-19世界の動向

 我々が対峙するbet36体育在线_10bet体育-【唯一授权网站】@(SARS-CoV-2)感染症COVID-19との関係は、この2週間で新たな局面に入りました。2020年5月8日現在、総症例数は3,885,788、死亡例265,862(死亡率7.1%)であり、症例数は1.2倍死亡例は1.2倍と決して減少してはおらず、また、死亡率の大幅な変化は見られていないのですが、先行する多くの感染まん延国、ことに北半球の先進諸国の多くでは強力なsuppression(社会的封じ込めによる感染抑制)によって新規感染者数は明らかに減少に転じ、経済、社会活動の再開mitigation緩和への道筋が模索されています。

 ここには明らかな二つのジレンマ(トレードオフ)があります。一つは、社会活動の促進感染リスクの低減の対比であり、各国、各組織では、活動の促進と感染低減を最適化する努力が(極めてcreativeな努力が)進められています(4月26日記事に感染抑止マインド、システムを改変し成功している台湾の例を紹介しています:https://www.youtube.com/watch?v=_2gSAyBOb6A)。もう一つは、感染低減と、集団免疫の獲得の間にあるジレンマであり(感染を避ければ、有効なワクチンが開発、流布されるまでは集団免疫は獲得することができません)、現在はほとんどの国で感染低減が優先されていますが、一時のイギリスや、現在でもブラジル、スウェーデンなどでは、緩和のレベルでハイリスク集団の感染を回避し、大幅な社会活動の制限を行わずに集団免疫の獲得を図る方針が取られています。

日本政府は、(現在の条件下では)自然感染による集団免疫獲得の方向性を目指さないことを明言しており、有効なワクチンの開発、あるいは初期に有効な薬剤が開発され致死率を明らかに低減する事態に至るまでは、公衆衛生学的な対策non-pharmaceutical intervention: NPI)、suppression(抑制)を繰り返し用いて感染低減を図る姿勢を示しています。この方針は、最も激烈な感染爆発に襲われたニューヨークでの抗体陽性率(既感染および感染抵抗性の指標)は~10%であり他の地域の調査では一桁%であり有効な集団免疫に必要とされる集団免疫閾値(1-1/基本再生産数 (~2.5) = ~60%、あるいはそれ以上が必要かもしれません)には初回の感染波では到底達しないこと、さらに、EU諸国及びイギリスでの有症者の致死率は10-20%に達し、とても受け入れられるものではないことから、妥当なものと考えられます。

この2週間で世界の感染状況はどのように変化したのでしょうか。

0511図1

 図1-Aに日本、及び代表的な感染まん延国の新規感染数の経時的推移を示しています。多くの国を含めたため一見してパターンを認識することはできませんが、図1-Bのように感染の時系列に注目して色分けすると一定の傾向が見えてきます。

図2

図2-Aには各国の人口当たりの新規感染数をプロットしてあります。これも複雑で判別不可能ですが、図2-Bのように、これらは感染のonsetによって4つのグループに分けることができそうです。感染の発端は明らかに中国(湖北省)であり地理的な関連から韓国が続き(赤)、ヨーロパでは早期にイタリアが、時をおかずしてEUで感染が広がり(黄色)、2週間後に海を越えてイギリスアメリカ合衆国に渡り(青)、そしてヨーロッパからの第二波が日本を含む諸国に(黒)拡大している様子が見て取れます(ブラジルの遅延は他の理由、南半球の夏から冬への季節変化が関わっているかもしれません)。トリガーが引かれた後の感染拡大には各国固有の背景があり、ブラジルでは緩和政策が、シンガポールでは外国人労働者の稠密な居住環境が、アメリカ(ニューヨーク)では老人介護施設での感染拡大が、それぞれあげられています。現時点では、中国、韓国は感染封じ込めに成功し安定しており、EU諸国も明らかに新規感染数は減少していますが、イギリス、アメリカ合衆国では未だに長いプラトーの状態が続いています。

図3

 図3に世界各地域の新規感染数の推移を示しています。この1ヶ月のスパンでは世界の新規感染数には大きな変化はなくパンデミックの状態が変わらず続いていることがわかります。地域的な分布はわずかに動きを見せ、ヨーロッパがやや減少傾向を示しているのに対して、アフリカ大陸東地中海(イラン:減少傾向、サウジアラビア、パキスタンなど)、東南アジア(インド、バングラデシュ、インドネシアなど)で増加する傾向を呈しており、これらの地域は医療資源の乏しい発展途上国を含むため、今後の感染拡大と、これらの国から先進国への人の流入による感染爆発の再燃が現実の脅威として迫っており、国連では先進諸国に大規模な財政的支援を呼びかけています。(2020年5月11日)
WHO: Novel Coronavirus (2019-nCoV) situation reports
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/situation-reports/

2.bet36体育在线_10bet体育-【唯一授权网站】@感染症COVID-19日本の状況

 日本は武漢からの第一の感染の波、中国の春節(2月12日)の大移動による第一波をほぼ完全にやり過ごしました。2月後半から、おそらく中国からの旅行者が発端者(index case)となったとされるイタリアでの、そしてスペインでの激烈なオーバーシュートと日本の状況は全く様相が異なり、どうして日本がその波を免れたのか不明と言わざるを得ず、将来様々な観点から検証する必要があると考えられます。現在の日本は第二の感染の波ヨーロッパからの在外邦人の再入国時に持ち込まれたウイルスが感染拡大しており、このことは時系列的に(図1A参照)、さらにウイルス学的にも示されています(bet36体育在线_10bet体育-【唯一授权网站】@ SARS-CoV-2 のゲノム分子疫学調査:2020/4/16 現在
https://www.niid.go.jp/niid/images/research_info/genome-2020_SARS-CoV-MolecularEpidemiology.pdf)。

図4に3月1日からの日本各都道府県における新規感染数を示しています。日本の新規症例数は3月下旬から、東京、大阪、愛知など中核都市を抱える都道府県で、(オーダーは異なるものの)ヨーロッパ、アメリカと類似する、指数関数的な上昇を示していました(図4)。

図4

 政府、安倍首相はbet36体育在线_10bet体育-【唯一授权网站】@感染症専門家会議の主要な提言である「人と人との接触を80%減らすこと」で実効再生産数(=実現実で1人が感染させる人数)を1未満とする方針(SARS-CoV-2の基本再生算数Ro = 2.5 として接触を60%減らせばR = 1.0、効果の不均一性を加味して80%とされたのでしょうか、あの国民的なアイドル、8割おじさん こと西浦博教授は”80% uncle”として世界に名が知られるようになりました)を実現するために、4月7日に、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、および福岡の7都府県に「緊急事態宣言」を発令し、自治体の首長は外出、移動の自粛及び特定の業種の営業制限、営業自粛を促し、政府はさらに4月16日に緊急事態宣言を全国に拡大して感染の地理的分断を目指しました。図4を詳細に見ると、東京、大阪、福岡、兵庫での新規感染数が4月10日付近で軌を一にして上昇しています。このピークは3月19, 20, 21の3連休に中核都市繁華街での人出が多かったことと呼応することが示されており、潜伏期から症状の進行まで、さらに日本の事情としてPCR検査までの待ち時間を合わせ、様々な効果判定にはほぼ20日のラグタイムを見る必要があることを示しています。

 日本における緊急事態宣言は他国、例えばフランス外出禁止令のような私権拘束、ペナルティー(違反には1万円超の、悪質な再犯には数十万円の罰金)を課すものではなく、他国からの多くの論評では効果が危ぶまれていたのですが、図4後半、4月末から5月初頭の下降カーブに見られるように、第二のシューブが懸念されていた北海道を含めほぼ全土で新規感染者数はきれいな指数関数的な減少を示し、4月7日に発令された緊急事態宣言(および自治体首長の様々な呼びかけ)が見事に奏功したことが見て取れます。この成果は日本特有の強い自制の発露と思われ、やはりフランスでイースター休暇への週末に外出禁止令に違反して数万人の逮捕者が出たという報道からうかがえるフランス人の自主独立、個人主義の気風とは、良し悪しは別として、大きな相違を感じ取ります。

 政府は専門家会議の提言を参考に、緊急事態宣言を5月末日まで延長し、その半ば、5月14日に効果を判定し、地域ごとに、業種を絞り、段階的に学校、大学の開校、営業活動の再開を許容する方向性を示しました。再開後の行動規範として「新しい生活様式」というスローガンが提示され(わかりやすいNHKの特設サイトを示します。厚労省にオリジナルの情報があります。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/view/detail/detail_08.html) social distancingを基本として、個人、組織がbet36体育在线_10bet体育-【唯一授权网站】@感染症の性質、感染防御方法を理解し、感染リスクの低減社会、経済活動の再開を調和させるための業種、組織ごとのガイドライン作成と継続的な、注意深い実行が求められています。(2020年4月6日 12日 19日 26日 5月11日)

3.各国の死亡率の現状:ドイツ、スイス、日本における最近(4月17日以降)の死亡率上昇

表1

 各国の総症例数、死亡数、死亡率を表1に示しています(5月8日WHO)。全世界の死亡率は全期間(6.9%)、4月17日まで(6.8%)、それ以降の期間(7.1%)とほぼ一定であり、RT-PCRの対象とされた集団では(多くの国で有症者、接触者が対象となります)死亡率は7%程度で安定していることがわかります。なお、現在は無症候性感染者数の把握はどの国でもできていませんが、パイロット的な抗体検査のデータから、感染者はRT-PCR陽性者の10倍程度(ニューヨーク市のデータ)、あるいはそれ以上と予想されており、疾患としての死亡率はさらに下がるものと考えられています。

 表1に見られるように、ヨーロッパ諸国、イタリア、スペイン、フランス、そしてイギリスの死亡率は受け入れ難いのもがあるのですが(なお、ヨーロッパの高齢者介護施ではAdvanced Care Planが先んじて取り入れられ、感染者は病院への搬送を選択せず、施設で最期を迎える例が多いとの報道があり、考えさせられます)、今回注目する点は、これまで死亡率が低いことで特徴付けられていたドイツスイス、そして日本4月17日以降の死亡率が大幅に上昇している可能性がある点です(韓国は症例数が少なく、意味のある数字とは言えない可能性があります)。従来、死亡率の上昇は高齢者の感染、急激な感染数増大によるICU、レスピレーターなどの高度医療資源の相対的枯渇(医療崩壊)の二点が重要と考えられて来ましたが、これらの理由づけは、今回の事例にはいずれもあてはまらないように思われます。一国内の出来事であり、遺伝的差異ではなく、また国民の感染歴、BCGなどワクチンの接種歴のいずれにも帰することはできません(統計的な揺らぎである可能性に関しては、専門的な検証が必要です)。

 死亡率との関係は今のところは不明ですが、地域的に異なるウイルスの変異株の分布が指摘されており(DOI: https://doi.org/10.25561/77482)、ことに注目すべき4月30日にappearしたイギリスからのプレプリント(DOI: https://doi.org/10.1101/2020.04.29.069054 doi: bioRxiv preprint)では、武漢、あるいはヨーロッパへの流入後早期に生じたfounder mutation, Asp614Glyが見出されており、このmutationは先祖型のウイルスを凌いでアメリカ、ヨーロッパなど全世界で時系列的にはるかに優勢となり、しかもmutationはヒトのコロナウイルスレセプター(Angiotensin Converting Enzyme-2: ACE-2)との感染性結合に関わる部分に位置すること(さらに正確にはヒトタンパク分解酵素furinによって切り出される部分にあり、切り出し、及びレセプター結合ドメインの露出、レセプター結合が容易になる可能性があることが示唆されています)、また、同一の変異はSARSのウイルス(SARS-CoV)にも出現しており、ウイルスの主たる抗原性を減弱させる(ワクチン、抗体療法の効果を減弱させる)変異であったことが示されています。極めて意味ありげなmutationなのですが、Sheffield Teaching Hospitalsで行われた453人を対象とする臨床的アウトカムの検討では、ウイルス量の増加を示唆するデータ、及び統計的に有意ではないがICU患者にD614Gがやや多い傾向が見られたのみであり、mutationの臨床的意義は明らかとなっていません。今後の検討が待たれ、また多くの無害なneutral mutationと判断されている変異の解析も今後の課題であり、通常の概念とは異なるのですがvirulenceが高い強毒株でありしかも感染性が高いウイルス変異が見逃されることがないことが願われます。日本における現在優勢なウイルスが「ヨーロッパ型」であることが感染研ホームページで示されていますが(bet36体育在线_10bet体育-【唯一授权网站】@ SARS-CoV-2 のゲノム分子疫学調査:2020/4/16 現在 https://www.niid.go.jp/niid/images/research_info/genome-2020_SARS-CoV-MolecularEpidemiology.pdf) 現時点でシークエンス情報が入手できず、詳細な関係は不明です。
(2020年4月26日 5月11日)
WHO: Novel Coronavirus (2019-nCoV) situation reports
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/situation-reports/

4. bet36体育在线_10bet体育-【唯一授权网站】@感染症COVID-19という疾患

 bet36体育在线_10bet体育-【唯一授权网站】@SARS-CoV-2が遺伝情報としてRNAを持つウイルス(コロナウイルス属)であり、SARS、MARSや冬季の風邪を起こすウイルスと同族であること、SARSの病原体であるSARS-CoVと最も遺伝子構造が似通っており、両者とも肺炎を起こすがbet36体育在线_10bet体育-【唯一授权网站】@ではSARSではほとんど見られない無症候性感染軽症例が80%を占め、しかし残りの20%は症状が出現してからほぼ1週間の分岐点ののちに重症化し致死率は決して低くないこと、主として若年者が占める無症候性感染者が知らずに感染を広げそのために世界的な大流行となったこと、さらにbet36体育在线_10bet体育-【唯一授权网站】@は症状が出現する2日前から他への感染を起こし(この知見は前出の西浦博先生が中国の事例分析から一人目の感染者の潜伏期よりも接触した二人目が発症に至るまでの期間が短いことから2月のpublicationで指摘していたことを、国立国際医療研究センターの忽那賢志先生が闊達、かつユーモア溢れる連載記事で指摘されています。https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20200426-00175324/)、その時期が最も感染力が強い可能性があること、など、この2ヶ月間に我々の疾患についての知識は大幅にブラッシュアップされました。ワクチンは存在せず、後段で紹介しているように既存の薬剤のrepositioning(適応外使用)が、既にヒトに使用され長い治験期間を要さないことからも、試みられていますが、軽症から外来診療で使用できる明らかに有効な薬剤は未だに存在せず、主として重症(血液酸素飽和度が下がり、酸素投与を必要とする)な患者さんを対象として、有効性が調べられている段階です。

 bet36体育在线_10bet体育-【唯一授权网站】@感染症の確定診断はSARS-CoV-2の遺伝子RNAを検出するRT-PCR検査(注1)によって行われます。また、CT画像検査の感度が高く、画像が特異的であることから専門家(あるいはAI)読影を経ると特異度も担保されることがわかり、日本はPCR検査のシステムは遅れているものの、CT普及率は世界でも他を圧して一位であることから、現在の基準よりもよりスクリーニング寄りの検査としてCTを位置づける試みも始まっています。

 RT-PCRと同様に確定診断に近い精度をもつと期待されているのが、ヒトのSARS-CoV-2に対する免疫応答を測定する「抗体検査」です。現時点では大規模な抗体検査のデータを見ることができず、感度?特異度、データ分布を実感として知ることはできていませんが、このウイルスに特徴的な点として、SARS-CoV-2の抗体価感染後1-3週間という極めて早期に上昇すること、一次免疫応答であるIgMと二次免疫応答IgG(クラススイッチを伴う)が近接して起こりIgM, IgGが早期にほぼ同時に産生される症例が見られること、が複数のレポートで報告され(DOI: 10.1038/s41577-020-0311-8)治癒過程のモニタリング、および比較的早期の診断ツールとして、さらに疫学的な感染状況の大規模サーベイランスの手段として期待できます。 但し、SARS, あるいは今回のbet36体育在线_10bet体育-【唯一授权网站】@の免疫応答は複雑な面を持ち、SARSの経験では、早期に強い免疫応答が生じ随伴する抗体値の上昇があった症例ではかえって死亡率が高いことが知られており、COVID-19においても免疫システムの応答がそのまま予後の良さと直結しない可能性が指摘されています。一方、COVID-19では一旦PCRが陰性になっても再度陽性化する症例が知られており、このような再燃、あるいはウイルス再活性化は個人によって異なる免疫応答の不全状態から生じる可能性があります。

 日本のRT-PCR検査体制が不十分であることは繰り返し指摘されていますが、PCR検査実施状況が次第に改善されてきていることは、我々が関与する発熱症例が次第にPCRへ進むことができるようになっていることからも実感されます。また、東京では週ごとのRT-PCR検査数、陽性率のモニターが開始され、最新のデータでは陽性率が7.5%と妥当な範囲に入り、サーベイランスデータとしての信頼性が増してきています。

 高齢者、心疾患など基礎疾患がある個人が感染すると明らかに重症化することも広く常識化されました。現在、多くの病院のCOVIDチームは若年の医師で構成されており、年寄りは後ろに引っ込んでいなくてはならず、我々の世代としては若年者の医師、看護師、検査技師、医療スタッフの負担に大きな負い目と感謝を感じざるを得ません。また、この点は学校、大学でも注目すべきであり、ヨーロッパ各国では概ね60歳以上、あるいは基礎疾患のある教員は自宅待機とし、学生、生徒と接する授業に出ることを禁止されています。

 経過中にどのような症状が出現するか、複数のレポートが参照できますが、中国で1099人の外来、入院患者を対象としたレポート(DOI: 10.1056/NEJMoa2002032)と、多くの無症候性感染者を含む自衛隊中央病院によるクルーズ船ダイアモンド?プリンセス号の乗客、乗務員104人を対象としたレポート(自衛隊中央病院ポームページ: https://www.mod.go.jp/gsdf/chosp/page/report.html) を比較して表2に示しました。

表2

 症状は共通性が高く、上気道炎症状、呼吸困難、咳などの呼吸器症状、全身倦怠感、頭痛、下痢、などの主要症状が両者に含まれています。患者背景はわずかに異なり、クルーズ船乗客乗員は年齢が20歳程度高くその点を考慮する必要がありますが、クルーズ船のレポートはRT-PCRのみを基準としており、軽症者から重症まで偏りなくサンプリングされている点が注目されます。通常の医療ルート(症状があり、医療を求める)である中国のレポートと比較して、クルーズ船症例では処置としては酸素投与が比較的少なく(41% vs. 14%)、人工呼吸例が少なく(6% vs. 1%)、死亡例がない(1% vs. 0%)ことが示され、症状としては、経過中の発熱が非常に少なく(89% vs. 33%)、倦怠感(38% vs. 21%)が少ないことがわかります。

 これらのことから、発熱がないことでbet36体育在线_10bet体育-【唯一授权网站】@感染症を否定することができないこと、重症化のサインとして、呼吸困難に加えて、倦怠感の問診が重要である可能性があること、さらに、無症状、軽症を含むクルーズ船症例においても、酸素投与を14%と多数に適用する必要があったこと、が注目されます。現在ではこれらに加え、嗅覚、味覚障害が特徴的な症状として認識されています。政府は軽症例として医療施設以外に滞在する感染を受けた人が重症化する際に見られる、注意すべき悪化のサイン、緊急性の高い13の症状を発表しました。これらは、1)いつもと違う様子のおかしさ、2)酸素を取り入れることができないための紫色の口唇青白い顔色、3)呼吸困難や努力呼吸の症状である呼吸数の増加息の荒さ)、息苦しさ起座呼吸苦しくて横臥できない)、肩で息をする突然のゼーゼーする激しい呼吸、そして4)意識障害のサインであるぼんやりしている朦朧として返事がない、さらに5)不整脈のサインとして脈がとぶあるいはリズムが乱れる、があげられ、このような症状が見られた場合は早急に医療機関に搬送することが必要となります。

 bet36体育在线_10bet体育-【唯一授权网站】@感染症の主たる標的臓器はであり、症状としての呼吸困難、病理的には「間質性肺炎(Interstitial Pneumonia: IP)」あるいは「広範性肺胞障害(Diffuse Alveolar Damage: DAD)」が既存の疾患名としては最も当てはまるのですが、様々なレポートや症例報告を見ると我々が知っている”IP”、”DAD”とは病像が相当に異なる可能性が指摘されています。上に、1週間程度の軽症期を経て、20%程度の人が重症化し、5%程度が死の転機をとる、と記しましたが、その1週間の分岐点から始まる呼吸障害(ガス交換障害)の進行が異様に早く、しかも呼吸努力(寝られず、座ってハーハーと荒く全身を使った呼吸をする)のフェーズがあまりないことがあり、短期間で血液酸素分圧の急激な低下をきたし、意識消失に至る例があることが指摘されています。通常の肺炎、間質性肺炎では肺のコンプライアンスが上がり(肺が水分で満たされあるいは繊維化して硬く、膨らまなくなり)全身を使った努力呼吸を余儀なくされるのですが、そのフェーズを経ずに急速に悪化してしまう、サイレントな進行の恐ろしさが感じられます。最近のレビュー論文でもその特異な臨床像が記載されるようになりました(Acute respiratory failure in COVID-19: is it "typical" ARDS? DOI: 10.1186/s13054-020-02911-9)。この特異性は、SARS-CoV-2が肺の最も奥にあり、直接に血液との酸素交換を行う肺胞に親和性を持って感染し、細胞障害、ヒアリン膜形成によってガス交換の場を直撃することと無関係ではないと考えられ、臨床像としても、救命治療の研究の点でも、重要なポイントと考えられます。

 bet36体育在线_10bet体育-【唯一授权网站】@感染症のもう一つのターゲットは血管であることがこの数週のレポートで明らかとなってきました。ふくらはぎの深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群として知られる)、冠動脈閉塞をきたす心筋梗塞、若年壮年者の前歴のない脳梗塞、足指のしもやけ状の発赤、皮疹、ヨーロッパ、アメリカ合衆国における小児の川崎病様の皮疹、粘膜疹など、静脈、微小血管、大血管に渡る血栓症がCOVID-19との関わりで次々と報告され、当初はサイトカインストーム(炎症性物質の過剰産生)による血小板活性化、播種性血管内凝固症候群(Disseminated Intravascular Coagulation: DIC)が疑われたのですが、その疾患概念では包括できず、内皮細胞障害が先行する血栓性微小血管障害(Thrombotic Micro-Angiopathy: TMA)(DOI: 10.1111/bjh.16783)、あるいは自己免疫亢進が関与する抗リン脂質抗体症候群(Anti-Phospholipid antibody Syndrome: APS)(DOI: 10.1056/NEJMc2007575)との関連が報告され、議論されています。SARS-CoV-2は血管内皮細胞に親和性を持ちACE-2がこれらの細胞に発現し)、内皮細胞を障害しさらに隠れた抗原性(hidden epitope)を免疫系に曝すことで系統的な血管障害、血栓症、血管炎を起こしそれらが直接の死因となる可能性が否定できず、現在検討されているトシリズマブ(抗IL-6受容体抗体)、ヘパリンなど抗凝固療法に加え、病態や疾患のフェーズによってはさらに強力な免疫抑制療法を考量する必要があるのかもしれません。
(2020年5月11日)

 bet36体育在线_10bet体育-【唯一授权网站】@感染症蔓延に関する最も大きな負担が、第一線の医療機関に押し寄せていることは、広く知られるようになりました。感染者を診療する際におこる、あるいは見逃された市中感染から偶然に起きてしまう「院内感染」は最大の問題の一つであり、医療供給の不連続な減少を招いています。医療スタッフ、看護師、検査技師を始め医療に携わる方々の負担は極限まで大きく、医療機器の不足(人工呼吸器など高度な機器から、マスク、手袋に至るまで)、人員の枯渇から、さらに苦しい状況が現出しています。bet36体育在线_10bet体育-【唯一授权网站】@感染症による呼吸不全は、救急疾患の中でも「治療可能期間(therapeutic window)が著しく短い」という特徴を持ち、搬送後、あるいは入院中に数時間で呼吸不全に陥ことが知られています。そのために、therapeutic windowが一定程度見込める多くの重症疾患の治療は先延ばしとなり、すでに間接的な影響、医療水準の低下が生じていると考えられます。医療者への負担を少しでも軽減するために、我々は協力し、応援する必要があります。

 (注1)COVID-19(SARS-CoV-2)の確定診断は現状では上気道(鼻粘膜など)のぬぐい液を採取し、RT-PCR法でウイルスRNAを検出することで行われます。医療者の検体採取時の感染リスクが高く、RT-PCR法は多段階の検査手技であることから、簡便な検査とは言えません。RT-PCR法の評価を行った報告(Eurosurveillance:https://www.eurosurveillance.org/content/10.2807/1560-7917.ES.2020.25.3.2000045)では、近縁のコロナウイルスを含むCOVID-19以外のウイルス感染患者サンプル297例を検査したところ全例で陰性であり、特異度(COVID-19に感染していない人を正しく陰性と診断する確率)はこの範囲で100%であり、検査範囲で偽陽性はなかったとされています。ですので、検査陽性とされた症例は確かに感染があったとして良さそうです(もし特異度が95%: 5%に偽陽性が出るとすると、~150,000例を検査した韓国では7,500例の偽陽性が出てしまいます)。一方、感度は低く設定され、50-70%とする報告が多く、見落とし(偽陰性、COVID-19感染があっても陽性と判定できない)が30%程度はあることになり、検査陰性でも感染を否定できないことになり、一方、高い特異度と併せ、繰り返し検査をするという方針の根拠となっており、また、多数の症例に検査ができることを担保しています。
(2020年3月23日 3月30日 4月6日 13日 19日 26日)

(以下の内容は縮小して再掲しています。次回以降に更新する予定です。)

5.出口戦略:公衆衛生的介入(non-pharmaceutical intervention : NPI)

 予防手段(ワクチン)、治療薬剤を我々が持たない、現在の状況では、非薬剤的、公衆衛生的介入(non-pharmaceutical intervention : NPI)のみが使い得る手段となります。COVID-19の特性から、有効なNPIは、1)外出、移動の禁止、2)全国民の社会的(物理的)距離維持、3)大学や学校の休講、4)感染者及び家族の(自宅)隔離、5)高齢者ハイリスク者の隔離、の全てを含む強い抑制(suppression)であり、莫大な被害を避け感染を減少させる(実効再生算数R<1とする)ためには必須の手段であることは広く受け入れられ、各国が罰則規定を含む強い封じ込めを最初の感染制御手段として選択しました。suppressionの方針の有力な論理的根拠の一つは、Neil M Ferguson(Imperial College London)らによる数理モデル予測 DOI: https://doi.org/10.25561/77482 とされておりFergusonらは全てのNPIを組み合わせた強いsuppression(注2)を3ヶ月程度導入することで感染は一旦収束するが、解除(mitigation, release)後にリバウンドを生じる可能性が高く、suppressionを繰り返す必要があり、イギリスを対象とする分析では抑制期間と解除期間の長さは2:1程度になるだろうと予測しています(図5)。ただし、社会的な態度学習によって効果が異なるであろうことを暗示しています。NPIのみで長期に絶えることは困難を伴いますが、治療薬剤、ワクチンの開発、使用を見据えてsuppressionを行うことは極めて大きな意味を持っています。

図5

(2020年3月8日 15日、30日 4月5日 19日)

最近、有力なNPI論文Science誌に現れ、日本では「新型コロナの流行、2022年まで続く可能性」として広く報道されました。
https://science.sciencemag.org/content/early/2020/04/14/science.abb5793.full
 この論文ではFergusonらが扱わなかったコロナウイルスの生物学的特性、ことに季節性(seasonal variation)による感染性の変動、および免疫応答の程度をシミュレーションにとりいれています。(COVID-19の原因となる)SARS-CoV-2と近縁の風邪症状の原因を起こす2種のコロナウイルス(HCoV-OC43, HCoV-HKU1)の挙動を数値的に予測することをまず試み、1)季節による感染性への影響(基本再生算数への影響:秋から冬に増加し、夏には減少、収束する)、2)OC43感染によりOC43に対する免疫が獲得されOC43感受性集団から除外されること、さらに3)他方のHKU1感染によりOC43に対する交差免疫が獲得されOC43感受性集団から除外されること、を取り入れて数値予測を行い、アメリカ合衆国でのリアルな感染データとの整合性を確認しています。さらに3つ目のウイルスとしてSARS-CoV-2を加え数値計算を行なっていますが、SARS-CoV-2に一定の潜伏期(4.6日)、感染持続(5日)を仮定し、その下で、交差免疫の程度免疫の持続時間基本再生産数Ro季節変動がRoに与える影響、を様々に変動させています。

 論文のメッセージは極めて多岐に渡ります。残念な情報として、HCoV-OC43, HCoV-HKU1の免疫持続時間は短く(40週程度)、SARSでも2年程度との情報が示されています。SARS-CoV-2感染によってOC43, HKU1と同程度の40週の免疫持続しか得られない場合は、最初のパンデミックが収束したのちに、毎年感染のピークが生じる(HCoV-OC43, HCoV-HKU1と同様に)こと、SARSウイルス同様に2年程度の免疫持続があれば、感染のピークは2年ごとになること、もし(可能性は低いと思われますが)恒久的な免疫が得られれば、感染は最初のパンデミックウェーブのみで終焉すること、また、風邪ウイルス(HCoV-OC43, HCoV-HKU1)からの交差免疫、および2年程度の免疫持続があると一見感染が終焉するが、2024年に感染のピークが再燃すること、などが数値計算によって予測されています。また、単回の封じ込めは、季節変動の影響がある場合は、封じ込めの季節によっては封じ込めを行わない場合よりも大きな再感染のウェーブが生じうることを予測しています。

すなわち、suppressionの繰り返しが必要であることはFergusonらの主張と同じなのですが、免疫や季節変動の影響を取り入れることでさらに多様な(場合によってはsuppressionの努力が水の泡になるような)状況が現出しうることを示しています。また、不顕性感染などで免疫を獲得した人の割合の把握、個人同定は感染予測をする上で非常に重要であり、SARS-CoV-2抗体検査の重要性は、本論文でも強調されています。
(2020年4月19日)

6.出口戦略:薬剤、ワクチン

 COVID-19を標的として開発された薬剤は現在のところは存在せず、他の感染症治療に認可されている薬剤、あるいは開発中の薬剤の適応外使用(drug repositioning)が行われています。(水面下での開発競争は非常に激しく、アメリカの治験データベースには650の新規臨床試験が18日現在登録されているとの報道があります)。COVID-19に対しては、インフルエンザに外来で用いられるオセタミビル(タミフル®)、ラピアクタ(ベラミビル® いずれもノイラミニダーゼ阻害薬)のように軽症から用いられ効果が示された薬剤は今のところなく、いずれも血液酸素飽和度(肺からの酸素取り込みの血液指標)が低下した、入院例の中等症、重症例に対して用いられる薬剤が報告され、効果が検証されています。

 これまでに査読付きの有力な論文でヒトに対する臨床的な効果が報告された薬剤は少なくとも2種類あり、一つはヒト後天性免疫不全症(Acquired  immune Deficiency Syndrome: AIDS)に使用されるロピナビル, リトナビル配合剤(カレトラ®)です。AIDSの起因病原体であるヒト免疫不全ウイルス(Human3月 Immunodeficiency Virus: HIV)は+鎖RNA(タンパク質をコードするmRNA鎖)をもつ、レトロウイルス(自らの逆転写酵素でRNAからDNAを複製しヒトのゲノム遺伝子に組み込まれる)であり、+鎖RNAからはタンパク質が一つらなりの無機能のポリタンパクとして翻訳され、ウイルスプロテアーゼ(タンパク質分解酵素)の働きで個々の機能タンパク質に分離されるのですが、ロピナビル, リトナビルはこの過程を抑制しウイルスの成熟を阻害します。2020年3月19日に発行された論文(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2001282)では、入院症例に対して標準治療(99例)、あるいはそれにロピナビル, リトナビルを加えた治療(100例)のいずれかを割り当てるランダム化(患者を無作為に2群に分けて比較する)、オープンラベル(医師、患者がどちらの治療か予めわかっている)試験が行われ、臨床的改善(退院や活動性、酸素治療の必要性など)が明らかに見られるまでの時間をプライマリー?エンドポイントとして比較しています。極めて正統的なトライアルが行われており、結果は、2群に差はなく、ロピナビル, リトナビルの効果は限定的、否定的とされました。

 もう一つはエボラ出血熱(2013年から16年に西アフリカで大流行した致死的熱性感染症)を対象に開発されたレミデシビルであり、エボラ出血熱に対する効果は限定的と判断されたのですが、エボラウイルスはコロナウイルスと同様に+鎖RNAウイルスであり(レトロウイルスではありません)、核酸アナログであるレミデシビルはRNA鎖を鋳型とするRNA複製を阻害し、ウイルスの増殖を抑制し、培養細胞を用いた実験からbet36体育在线_10bet体育-【唯一授权网站】@に対する抗ウイルス作用が見出されたことから、COVID-19に感染し酸素分圧の低下を見た症例に投与され、効果が観察されています(https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2007016)。この報告ではコントロール群レミデシビル投与なしが置かれておらず、「比較的重症な例を対象にしたにもかかわらず既報(上記のロピナビル, リトナビルを扱った論文)よりも死亡率が少なく、人工呼吸器を要した症例の70%で呼吸補助が不要になった」ことから、レミデシビル重症なCOVID-19患者に対して臨床的な効果があるのであろう、と推論しています。現在はCOVID-19の標準治療は存在せず、どのような情報も重要であることは明らかですが、正統的なサイエンスの基準に則ると、明らかに科学的根拠としては不十分であると言わざるを得ません。
(2020年4月12日 19日)

 レミデシビルはアメリカNational Institute of Health(NIH)による1063例をエンロールしたランダム化コントロール試験の予備的発表において(4月29日News Release)、回復までの期間がプラセボ(コントロールとして用いる偽薬)群が15日であるのに対して、レミデシビル群では11日と統計学的に有意の短縮が見られたことが報告されました。この結果を受けて日本においてもレミデシビルの臨床使用が認められています
(2020年5月11日)

写真2

 日本発の薬剤として期待されるファビピラビル(アビガン®)は、-鎖RNAウイルスであるインフルエンザウイルスに対して開発された核酸アナログであり、レミデシビルと同様にRNA鎖を鋳型とするRNA複製を阻害し、インフルエンザウイルスでは-鎖から相補的な+鎖の複製を阻害するために翻訳ができずタンパク質が産生されないという強力なダメージを与え治療効果を発揮します。コロナウイスルスは+鎖RNAウイルスであり、アビガンは+鎖から-鎖のRNA複製を阻害し、ウイルスの増殖を抑制することでCOVID-9への臨床的効果が発揮されることが期待されます。これまでにインパクトの大きい査読付き論文の発表はなく、サイエンスの方法に則った、ランダム化コントロール試験の結果が待たれます。

 他にも、細部内器官であるリソゾームの酸性化を阻害する抗マラリア薬であるクロロキン(ヒドロキシクロロキン)、蛋白質分解酵素阻害剤であり、抗インフルエンザ薬のノイラミニダーゼ阻害剤のようにウイルスの細部内へのエントリーを阻害することが示されているナファモスタット(フサン®)など、候補薬剤が挙げられていますが、ヒトを対象とする効果検証は将来の課題となります。また、過剰な免疫応答により生体が必要以上に毀損されることが知られ、サイトカインストーム(サイトカイン:免疫炎症物質が荒れ狂うように産生され生体を障害する状態)と呼ばれていますが、この状態がCOVID-19においても生体に不利益に働くと考えられており、インターロイキン-6(IL-6)受容体の阻害抗体であるトシリズマブ、サリスマブの効果が検証されています。吸入ステロイド剤のシクレソニドは、肺の炎症を抑制し、同時に抗ウイルス作用を持ち、臨床的に有効である可能性が示唆されています。

 COVID-19によって集団免疫におけるワクチンの重要性が急激に人口に膾炙したのですが、現在、各国がワクチン、RNAワクチン、DNAワクチンの開発を競っている状況です。ワクチンは最も期待される感染制御手段ですが、コロナウイルスに対する免疫応答が長くは続かないこと(感染免疫で1-2年、上述)、また、マラリア、HIV、C型肝炎の様にワクチン開発が未だに進んでいない疾患があることなどから必ずしも容易に達成できるとは限らず、多くの企業、研究施設による継続的なトライアルが期待されます。
(2020年4月12日 19日)

7.感染リスクを低減するための個人の行動

 個々人が感染リスクを低減するためには、報道で繰り返し指摘されているように、
1)不特定他者からの感染を避け、2)他者に感染を広げないことが基本となります。
誰が感染しているかわからない、どこにウイルスが付着しているかはわからない、ことを念頭に置く必要があります。

大局的に重要な概念は、
 ◆  多人数の集合を避ける ことであり、そして、
 ◆  長距離の移動を避ける ことです。

感染が広がる中核都市から地方への移動は、地方の医療給付を破綻させてしまう可能瀬があり、感染の地理的分断は非常に重要です。
この二点を認識した上で、いわゆる3密を避けること、すなわち、
 ◆ 密集 を避ける
 ◆ 密閉空間を避ける
 ◆ 密接な場面、対面、間近での発声や食事、を避ける

ことに留意する必要があります。
 感染経路としては、飛沫感染、接触感染が主たるものですが、ことに接触感染が重要であり、共用部分(ドアノブ、キーボード、タッチパネル、電話、手すり、蛇口、貨幣)に触れた手で目、鼻、口の粘膜に触らないこと、折を見て石鹸を用いた手洗い、消毒を行うこと、施設の責任者は共用部分の洗浄、消毒を行うこと、割り箸やマドラーなどのバルク置きを避けること、大皿やサラダバーなどでの食品供与を行わないように、する必要があります。SARS-CoV-2はプラスチックなど平滑表面では72時間以上生存する可能性があり注意が必要です。共用部分を触った手で個人所有の携帯電話を触ることで、接触感染が生じる可能性が指摘されています。

 SARS-CoV-2は飛沫感染で伝播すると考えられていますが、飛沫核、エアロゾルなど小さな飛沫の状態でも生存し長時間空中を漂うと考えられており、密閉空間を避け、換気をすることが非常に重要であり、マスクの重要性を示すものであり、コールセンターなどでの感染拡大を説明すると考えられています。なお、マスクの外側(鼻、口に接しない側)は危険地帯であり、マスクを置くときは内側を上にする、決して外側を鼻、口に当てない、ことに注意する必要があります。
近距離での会話会話しながら(あるいは酒席の接待などの食事極めて危険です。食事は一人で、対面せず、会話せずに摂りましょう。 

症状がなくとも、(検査が容易には行えない)現時点では、自分が感染している可能性がゼロではないことを念頭に置き多人数の集合は避け感染低減策を取り、ことに感染が疑われる場合は、高齢者基礎疾患のある人には接しないようにして、当面のオーバーシュート、医療機関、医療者への過大な負荷を避けることが必要です。COVID-19は若年者への感染率も同様に高く、多くの場合軽症だに経過しますがそのために感染を広げる可能性が高いこと、一部は重症化することから、若年者も感染に万全の注意を払う必要があります
https://toyokeizai.net/sp/visual/tko/covid19/
(2020年3月30日 4月6日 13日 19日)
0316写真1

8.日常的に行う感染リスク低減の方法(再掲)

 我々の注意すべき点は、不特定他者からの感染リスクを低減し、他者に感染を広げないことにあります。すなわち、

1.  感染者との接触を避けること、
2.  手すりやつり革、キーボードなどに残存するウイルスを、自らの手から目、鼻、口の粘膜に移行させないようにすること、そして
3.  自分が発端者となり他へ感染を広げないこと

をモットーとする必要となります。すなわち、

   外出、出勤退勤時など常に、目、鼻、口を触らないように、手を肩より上に上げないように習慣づけましょう
   外出、出勤退勤時、会話をする際には常に、マスクをつけましょう。
   職場、自宅に帰るなど区切りの際に、石鹸、流水で20秒間手を洗ってください。アルコール含有消毒液も有効です。
   不要不急の会合を中止し、個々人が人混みに行かないように、時差出勤、在宅勤務を積極的に取り入れてください。
   部屋の換気をしてください。寒い時期ですが、窓を開けて空気を入れ替えましょう。
(2020年2月25日 4月19日) 

 もし、ご自身に熱がある、感染症を思わせる症状があったら、大学ホームページに示されている指針に従って行動してください。

http://www.ocha.ac.jp/news/20200403.html
 「新型コロナ感染症対策室」は大学横断的な組織であり、全学、附属学校園の構成員、学生、生徒の健康を守り心身のサポートを行うために積極的に活動しています。定期的に皆様への呼びかけを行っておりますので、症状がある場合、あるいはどのような質問でも、対策室メールアドレス(corona-taisaku@cc.ocha.ac.jp)にご相談ください。

 なお、症状がある場合は、家族を含め他者に感染を広げないこと、自身の感染リスク、重症化リスクを正しく判定し受診すること、が重要であり、そのためには、

    熱がある、咳が出る、体がだるい、などの症状がある場合は、自宅待機として、家族との接触、タオルなどの共用を避け、経過を見るとともに、大学の所属機関、新型コロナ感染症対策室に連絡してください。   症状が強い、熱が数日続く、罹患者との接触が否定できない、などの場合は、下記の連絡先(保健所特設機関等)に電話相談して、受診医療機関、受診方法に関する指示を受けてください。受診の際には医療機関に連絡し、マスクをして受診するなど、他者への感染を起こさないことにご配慮ください。
    高齢、基礎疾患(呼吸器疾患、循環器疾患、糖尿病など)など重症化のリスクがある場合は、かかりつけの医療機関に連絡して指示を受けることが最も良い方法です。あるいは、接触者相談センターに早めに電話相談して指示を受けてください。

(2020年3月2日 4月19日)

9.大学からのメッセージを、最後に、お伝えします

 本学は、自分の、そして大切な人の命を守る、さらに、自ら新型コロナの感染拡大を防ぎ、医療崩壊を食い止めることを第一に考えています。学生、生徒の皆様、教職員の皆様は、外出を自粛し、自宅で、今できることを、進めていただきますように、お願いいたします。
(2020年4月19日)

連絡先:

帰国者?接触者相談センター
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansen/coronasodan.html
から調べられます。
文京区:03-5803-1824 平日9時から17時
板橋区:03-6831-6870 9時から17時
厚労省電話相談窓口
0120-565653(フリーダイヤル)9時から21時
都、特別区、八王子市、町田市 合同電話相談センター
03-5320-4592 夜間および休日

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