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2011年4月27日更新
本学理学部数学科卒業生の溝口紀子さん(東京学芸大学教育学部自然科学系准教授)が「第31回猿橋賞」を受賞されました。
猿橋賞は,1980年創立の「女性科学者に明るい未来をの会」が,自然科学の分野で顕著な研究業績をあげた女性科学者(50歳未満)におくる賞で,猿橋勝子博士によって創設されました。多くの自然科学分野の学会からそれぞれ推薦された候補者のなかから,毎年1名に与えられる名誉な賞です。
猿橋賞HP
溝口紀子さんは、1985(昭和60)年に本学理学部数学科を卒業後、理学研究科に進学し、理学修士の学位を取得されました。本学在籍中は渡辺ヒサ子名誉教授の研究室に属しておられ、関数論の関数解析的な研究をされました。その後、東京工業大学大学院に進み、1990年「不動点定理とその応用」により理学博士の学位を取得し、日本学術振興会特別研究員を経て、1993年東京学芸大学講師、1995年東京学芸大学助教授、2007年東京学芸大学准教授になられました。2009年に日本学術振興機構「数学と諸分野の協働によるブレークスルーの探索」領域のさきがけプロジェクトの一つに溝口氏の「非線形放物型方程式の解の爆発とその応用」採用されました。今回の猿橋賞受賞の対象となったのは「爆発現象の漸近解析」です。
燃焼現象ではいつどこでどのように発火が始まるかを判定することが重要です。この現象は非線形拡散型方程式で定式化できその解が無限大に発散するときが発火時刻で、またその場所が発火点といいます。解が無限大に発散する現象を解の爆発とよび、無限大になる場所を爆発点といいます。このような現象は燃焼現象だけではなく、流体力学、宇宙物理をはじめ、さまざまな現象に現れ、爆発解の挙動を調べ、正確に理解することは数学的に重要であるだけでなく、科学?技術全般の向上にとっても重要です。
爆発現象の研究は1960年代にその存在?非存在の研究が始まって、 1980年代に爆発解の挙動、爆発点の位置のような解の形状に関することに発展しました。溝口紀子さんは、1990年代から精力的にこの分野の研究に取り組み、さまざまな数学的理論を組み合わせてた新しいアプローチを開発し、世界的にトップレベルの研究者とみなされています。
本学では,すでに以下の4名の理学部卒業生が猿橋賞を受賞しています.
山田晴河さん (第2回,物理学,1955年化学科卒)
石田瑞穂さん (第9回,地球科学,1966年物理学科卒)
黒田玲子さん (第13回,化学,1970年化学科卒)
森郁恵さん (第26回,生物学,1980年生物学科卒)