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2015年11月30日更新
文部科学大臣 祝辞
(代読 土屋文部科学事務次官)
本日ここに、お茶の水女子大学創立百四十周年記念式典が挙行されるに当たり、一言お祝いの言葉を申し上げます。
お茶の水女子大学は、明治八年、女子の教員養成を目的として設立された東京女子師範学校を起源とし、その後幾度かの変遷をへて、昭和二十四年に新制大学として新たに発足し、今日に至っております。お茶の水女子大学が、創立以来これまで、一貫して女性の自立と社会的な活躍に向けて多大な貢献をしてこられましたことは、室伏学長をはじめとする関係者の皆様の御尽力によるものと心より敬意を表します。
そして、女性の活躍が特に注目される二十一世紀の現在にあって、お茶の水女子大学が、女性リーダー育成の先頭に立つことはもちろん、新しい大学像の構築を目指して飛躍しようとしておられることは、大きな期待を寄せるものであります。
お茶の水女子大学は、教育の場として、「学ぶ意欲のあるすべての女性にとって真摯な夢の実現の場として存在する。」という標語を掲げ、リベラルアーツ教育、グローバル人材育成教育、また、学生の自主性を重んじたプログラム選択制など、様々な教育改革を進めてきている大学であると承知しております。
また、研究の場としては、次代を見据えてイノベーションを創出する国際的?学際的な研究、少子高齢化社会に向けて、幼児から高齢者まで、人々の生活の質を向上させる研究、日本の文化を世界に向けて発信する日本学研究など、社会が求める独自の研究の開拓?実践に努めておられます。
さらに、平成二十八年度から、女性の視点とともに生活者の視点を生かした工学の推進のため、奈良女子大学との共同による大学院「生活工学共同専攻」を開設するとされており、生活上の諸問題を有機的に捉え質的に豊かな物づくりを実現する教育研究の展開を目指しておられます。文部科学省においても、本年六月に国立大学経営力戦略を策定し、国立大学の自己変革を進め、新陳代謝の促進を図るために、機能強化のための組織再編や大学間?専門分野間での連携?連合等を積極的に支援しており、お茶の水女子大学の新専攻の設置は、こうした戦略とも軌を一にするものであり、文部科学省としても期待を寄せているところです。
少子高齢化が進展する中、IT技術や医療技術などをはじめとする科学技術の急速な発達がもたらす社会の価値観の変化に加えて、昨今の大規模災害や多発する紛争、経済格差の問題など、複雑化して出口の見えない様々な課題を解決するための人材育成が今ほど求められるときはありません。 お茶の水女子大学は、社会に向けて様々なメッセージを発信する、活力と革新性あふれる大学として、伝統を生かしつつその枠を超え、広く社会のための強み?特色を生かした教育研究にまい進していただきたいと願っております。
最後に、本日御臨席の皆様方におかれましても、引き続き、お茶の水女子大学に対し、より一層の温かい御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、お茶の水女子大学、並びに御臨席の皆様の更なる御発展を心から祈念し、お祝いの言葉といたします。
平成27年11月29日
文部科学大臣
馳 浩